陰にて光咲く
翌日は小雨の雨がぱらついていた。
そんな中、傘もささずに渋谷の街中を歩いていた。
大勢の人が行き交う道で肩をぶつからせながら、前を歩く。
そして渋谷の賑やかな街から外れた、とある雑居ビルの前で立ち止まる。
ポケットから取り出した紙に書いていたのは、きのうヨースケから聞いた地図だった。
その地図とビルを交互に見る。
ここだ。
そのビルには地下への入口があって、階段が続いていた。
勇気を振り絞って、地下への階段を降りていく。
ヨースケから教えられたところは、成瀬の居場所だ。
もとのあじとは警察に見つかったせいで使えず、今はこのビルの地下にいるらしい。
薄暗い階段を降りていくと、分厚い扉がただずんでいた。
中からはロックのような音楽とリズム音が漏れてきている。
若者たちが愉快に踊っている姿が想像できた。
ここに入ってしまえば、二度とこちらの世界には戻ってこれない気がしてきた。