陰にて光咲く



だが、自分でヨースケから成瀬の居場所を聞いたのだ。


俺は手に力を入れて扉を開けた。


薄暗いフロア。


耳を塞ぎたくなるような爆音の音楽が流れている。


そこにはたくさんの男女が楽しそうに踊ったり、話したりしていた。


俺はなるべくその人たちとは目を合わせないようにかき分けながら、進んでいった。


所々に丸いテーブルがあり、その上には粉のような物が入った小袋や注射器が散乱していた。


初めて目にした大麻に目がくらみそうになる。


それに見て見ぬふりをした後、成瀬の姿を探した。


ヨースケから成瀬の写真を見せてもらっていたので、それと同じ顔を探していく。


そして、ようやく見つけた。


いすに座って、隣にいる若い金髪の男と笑いながら話していた。


こっちからは笑ってるように見えても、成瀬からしたら笑ってないのかもしれない。


それが成瀬という男だ。


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