陰にて光咲く



「言っとくが、アズマをグループに誘ったのは俺じゃねーぞ。あいつがのこのこ入ってきたんだ」


成瀬はそう言いながら、たばこの煙をふうっと吐いた。


「生きることに疲れきった目してよ。だからあいつに教えてやったんだよ、何も考えずに楽しく金稼げる方法をな。けど、急にアズマは薬を辞めたいと言い出した」


「…何で辞めさせないんですか?」


震えた声で成瀬に問うと、成瀬は大げさに笑い出して言った。


「辞めさせるかよ普通。辞めたいと言った奴らを野放しにして警察にでも行かれたら、俺たちが厄介だからなぁ」


ケラケラ笑う成瀬を見ていると、徐々に怒りがこみ上げてきた。


警察に知られるのが怖いから?


そんな勝手な理由でアズマを自分に縛り付けていたのかよ。


それでアズマをナイフで…


「ふざけんな…」


「あ?」


「ふざけんなって言ってんだよ‼︎」


気がつくと、成瀬に飛びかかって胸ぐらを掴んでいた。


「あんたのせいでアズマが、どれだけ傷つけられたと思ってんだよ‼︎」


成瀬をきつく睨んでも、成瀬は笑っていた。


胸ぐらを掴んでいる手に、いっそう力が入る。




< 142 / 211 >

この作品をシェア

pagetop