陰にて光咲く
「確かに俺はアズマを刺してた。けどそれはもう過去のことだ。アズマの傷はもう治ってんだよ」
胸ぐらを掴む手に、いっそう力が入る。
「アズマの体の傷は治ってるかもしれない。
けどな、あんたによってつけられた心の傷はアズマの中から一生消えることはねーんだよ!
ヤられた側は忘れることなんかできずに、一生その傷に苦しめられることになるんだよ!」
成瀬の体を揺らしながら叫んだ。
それを聞いて無表情になった成瀬は、俺の手を胸から突き放した。
そして再び笑い出す。
「幸せだな、アズマも。お友達にこんなかばってくれる奴がいて。君が言いたいことはそれだけか?」
「アズマを二度と、あんたのところに戻しませんから。それだけです」
そう言い放つと、向きを変えてもと来たルートを歩いていった。
地上に出ると、さっきまでの小雨だった雨が強くなっている。