陰にて光咲く
今でもしっかりと残っている。
何なんだよあいつは…
それは最初に会った時から思っていたことだが、いかにも俺をからかってるようにしか見えない。
もう健太の言う通り、今後一切アズマと関わるのはやめよう。
身の危険を感じる前にあいつとは距離を置いたほうが良さそうだ。
「それよかさ、お前明日さおりとデートだろ?」
いきなりの話の変わりように、戸惑いを隠せなかった。
「いきなり何だよ!まあ、そうだけど…」
明日の授業の後、さおりと映画を観に行く約束をしている。
さおりと二人で出かけるのはこれが初めてではなく、これまでにも食事に行ったり、買い物に行ったりと何度かしていた。
けれど、さおりとは恋人という関係にはまだ至っていない。
告白するチャンスを失ってきているからだ。