陰にて光咲く
電気をつけたかったが、そんなの探してる暇はない。
見たところ、かなり広い別荘で入ったところは、どうやらリビングのようだった。
でかいソファとその前にはガラステーブルがあり、テレビもある。
部屋の一角には6時半で停止したままの振り子時計が置かれていた。
けど、ここにはアズマはいない。
リビングの隣には玄関。
玄関の向かいには階段がある。
俺は忍び足で二階へ上がった。
二階には横一列に3部屋が並んでた。
まずは一番手前の部屋からドアを開ける。
だが、がらんとした空間には誰もいなかった。
真ん中の部屋も開けてみるが、誰もいない。
どちらの部屋にも家具一つないのが妙だと思った。
残るは奥の部屋だけだが…
アズマがいるとしたら、ここにいるはずだ。
ドアをゆっくりと開けていく。
「アズマ…?」
部屋には壁にもたれてぐったりとしているアズマがいたのだ。
右手は壁に取り付けてある手錠をはめられていた。