陰にて光咲く
しかし、アズマの右手には手錠がしてあって簡単に取れそうにない。
何か鎖が切れそうな道具はないのか?
部屋にあった机の上や引き出しの中を物色する。
そして、ありがたいことに机の一番下の引き出しにペンチがあった。
これなら切れるかもしれない。
俺は手錠の鎖をペンチで挟み、一気に力をいれた。
パチンという音が響いて、見事に鎖が切れた。
どうやら手錠は偽物のようですぐに切ることができた。
「よし切れた!」
ペンチを投げ捨て、アズマの右腕を首に回した。
「立てるか?」
アズマは足に力を入れて立ち上がるも、すぐによろめいてしまった。
急いでアズマの腰に手をまわす。
その時、アズマの腰回りの細さに驚いた。
監禁されてたせいで、かなり痩せてしまっている…
監禁の惨さに心が傷んだ。
俺はアズマを支えながら階段を降りていき、玄関にたどり着いた。