陰にて光咲く
成瀬はにやりと笑いながら近づいてきた。
「アズマ、見つけた…」
俺は思わず後ずさりをしてしまった。
「成瀬さん…何で…?」
「さっき知らない女から電話があったんだよ。この別荘にアズマがいるから行けってな」
知らない女…?
それってまさか、さおりか?
さおりしかこの別荘のことは知らないはずだ。
成瀬はじりじりと近づいてきた。
「裏切り者のアズマ、やっと会えたな」
まずい…このままじゃ、アズマは連れてかれてしまう。
俺はアズマをかばうように前へ立った。
「やめろ‼︎もうあんたにアズマは渡さねぇ!」
「部外者は引っ込んでろ。アズマ、お前のせいで警察の捜査が俺らのとこに来てんだよ。取り返しのつかねーことしてくれたな‼︎」
成瀬の手がアズマに伸びた。
「やめっ…」
止めにはいろうとした時、アズマが俺の前へ立った。
「成瀬さん、俺もう決めたんです。警察に行きます」
思わずアズマを見た。
成瀬もその言葉を聞いて固まっている。