陰にて光咲く
第十一章 「二人で」
それから30分が経過した時だった。
隣にいるアズマが、突然声を押し殺して笑い始めたのだ。
呆然とアズマを見つめる。
意味がわからない。
何でこんな時に笑えるんだよ…
俺は少し強めの口調で言った。
「何がおかしいんだよ?」
「いや…拓夢と初めて会った日のこと思い出しちゃってさ」
「はあ?」
「あの時、線路の上にいた俺を電車が迫ってきている中で踏切の外に押し出してくれたじゃん。その時のお前の必死な表情思い出すと、おかしくってさ」
俺は唖然とアズマの話を聞いていた。
けれどアズマの笑っている姿を見ていると、詰まっていた緊張が解けていく。