陰にて光咲く
それからまた1時間が経過した時だった。
もう日付が変わってしまっている。
俺とアズマはずっと同じ場所で、座ったままでいた。
その時、一階でかすかに物音を聞いた。
リビングの窓の所に置いたタンスが動いた音のような…
俺とアズマは顔を見合わせる。
「まさか警察?」
「いや、それならもっと騒がしくなるだろ」
俺はそう言って立ち上がった。
まさか、さおりが来たのか…
「ちょっと様子見てくる…」
息を止めて部屋のドアに近づいていった。
そして、ドアノブに手をかける。
さおりが部屋の前にいる想像をしてしまい、なかなか開けられない。
心臓が高鳴って、外にまで聞こえてしまうほど鳴っていた。
意を決して、ドアを開ける。
だが、部屋の前には誰もいなかった。