陰にて光咲く



さおりはアズマを見て、とぼけたような表情で言った。


「あれ〜アズマ君生きてたんだ。あのままほっといたから、もう死んじゃってるかと思ったのに」


さおりが普通に死んじゃってると、明るく言ったことに唖然とした。


「拓夢、お願いがあるの」


さおりはそう言って、俺にロープを差し出した。


「これでアズマ君を縛って。動けないように」


さおりはいったい何が目的なんだ。


それがわからないと、この先不安で仕方ない。


「何でそんなこと…」


「いいから早く。じゃないと、今度こそアズマ君は本当に死んじゃうかも?」


さおりはアズマに近づいて、ナイフを向けた。


仕方なくロープを受け取り、アズマの体をきつく縛った。


縛ってる時に、アズマの耳元で静かに言う。


「必ず助けるから…」


それを聞いたアズマは小さくうなづいた。


「拓夢、ちゃんと縛ってくれた?」


「ああ…」


「それじゃあこっちへ来て」


にっこりと微笑むさおり。


その笑顔が恐怖でしかなかった。


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