陰にて光咲く
別荘の外には3台のパトカーが縦に並んでいた。
俺が別荘から出てきた時、アズマが一番後ろに停まっていたパトカーに乗り込もうとしていた。
乗り込む直前、アズマと目が合った。
何も写してない真っ暗な瞳。
だけど、その瞳にはどこか光がある。
アズマがそっと微笑んだのを見て、俺はゆっくりうなづいた。
アズマがパトカーに乗り込み、そのすぐ後に一人の刑事が乗り込んでドアは閉められた。
俺は渡辺に真ん中のパトカーに誘導され、乗り込んだ。
隣に渡辺が乗り込み、ドアが閉められる。
そして俺は、渡辺に静かに言った。
「渡辺さん、アズマは確かにたくさんの罪を犯しています。けど、あいつは、本当は・・」
「わかっている」
渡辺の意外な言葉を聞いて、思わず顔を上げて渡辺を見た。
「君たちは、本当によくやったよ」
それを聞いた後、目から我慢していた一粒の涙が溢れ出た。
どうか、アズマを救ってほしい。
渡辺に対し、そう願わずにはいられなかった。
パトカーは森の中へと発進していく…