陰にて光咲く
最終章 「一番星」
『今日は一日中青空が広がり、過ごしやすい陽気となるでしょう』
テレビのお姉さんが説明している天気予報を聞きながら、俺はタンスからネクタイを引っ張り出した。
洗面所の鏡の前に立ち、ネクタイを結ぶ。
キレイに結んだネクタイに満足し、リビングのテーブルに散らばっていた資料をカバンに詰め込んだ。
そしてスーツに袖を通す。
パリッとした雰囲気に未だ慣れることができない。
忘れ物がないか念入りにチェックしてから、マンションの部屋を出た。
薄っすら感じる陽気が、もう時期訪れる春を迎えているようだった。