陰にて光咲く
「けれど後からそいつは僕を束縛したり、僕の彼女を傷つけようとしてきました。
そしてそいつが薬物をやっていることを知って、そいつから離れるようになりました」
ー「俺の仲間に頼めば何だって思惑通りにできんだよ」ー
ー「やめろっ‼︎」ー
「でも、そいつがしてきたことは全部
僕の彼女からのストーカーを知らせるためにやってきたことでした。
それから、そいつはドラッグの闇から抜け出せず、
もがき苦しんでいたところを僕に助けを求めていたのに気づかなかったんです」
ー「お前を親友だと思ったことなんか一度もねーよ。二度と俺の前に顔を出すな、さっさと消えろ」ー
そして面接官と目を合わせ、まっすぐ前を見て言った。
「僕はずっと目の前のことばかり見ていて、ちゃんと人を信じることができていませんでした。
けどこの経験によって、目の前にあるものだけが真実とは限らないことに気づかされたんです。
そして、アズマは愚かな僕を救ってくれました」
結末はあんな結果になってしまった。
もしあの時隣にアズマがいなかったら、俺は一生自分の罪を隠し、逃げ回っていたかもしれない。
けれどアズマが自ら立ち直ったことで、俺自身も変わることができたのだ。
新しい道へ進むことができた。
人生で一度や二度と踏み外してしまっても、また再スタートできる。
それをアズマが教えてくれたんだ。
話終えたとたん、心のわだかまりがスッと抜けていった気がした。