陰にて光咲く
自然とこみ上げてきた笑みを浮かべながら言った。
『あいつ出てきても帰る場所ないと思ったから、一応な』
いつの間にか、窓からは沈みかけの夕日が差し込んできていた。
アズマの話をすると、決まってしんみりしてしまう。
どちらかともなく、黙り込んでしまうのだ。
健太はそれをかき消すかのように、明るく言った。
『まあ、今度ゆっくりメシでも食いに行こうぜ。アズマもいれてよ』
『そうだな!健太も仕事頑張れよ』
『拓夢もな!』
そんなやり取りをして、電話を切った。
そして、自然と深いため息が出る。
窓の外に目をやると、夕暮れ時で空が青とオレンジの半々に分かれていた。
絵の具で塗ったようなそのグラデーションが、とても美しかった。