陰にて光咲く



「あの、俺と…」


さおりはじっと俺の目を見つめている。


もう言うしかない。


「俺とっ…」


付き合ってという前に、ポケットの中のスマホが震えだした。


「わっ悪い!」


さおりに少しだけ謝ってスマホを取り出すと、画面に知らない番号が表示されていた。


誰だよ、こんな時に。


「ちょっと待ってて」


さおりにそう言って席を立ち、誰もいない入口のところで電話に出た。


『もしもし?』


『拓夢?オレオレ!』


『はい?』


『だから〜俺だよ、アズマ!』


は?


アズマ⁇


意味がわからない。


何でこいつが俺の番号知ってんだよ?


< 21 / 211 >

この作品をシェア

pagetop