陰にて光咲く
いらつきを多少残したまま席に戻ると、
「どうしたの?」
さおりが心配そうに聞いてきた。
「いや、何でもない!」
「そう…それで、さっき何か言いかけてたよね。何?」
さおりの言葉ではっと告白の途中だったことを思い出したけど、タイミングを逃してしまい再び続ける気になれなかった。
「いやっ大したことじゃねーから、何でもない」
「…そう」
くそっ
さっきの電話さえなければ、今頃さおりと付き合えてたかもしれないのに。
俺は残りのビールを一気に飲み干した。