陰にて光咲く



それから数日後。


今日は時折強い風が吹いていて、今朝の天気予報では今年一番の寒さだと言っていた。


寒いのが苦手で大学に行くのが憂鬱だったが、身を縮めながら大学へ行き2限の授業を受けていた。


この講義は健太とさおりはいないので、大教室の後ろの方で一人で受けていた。


講義を聞きながらウトウトしていると、突然後ろからバシッと背中を叩かれた。


「よっ拓夢」


あせって振り向くと、そこにいたのはアズマだった。


今ので眠気が一気に覚める。


「なんか俺ら最近よく会うよな。お前この授業取ってたんだ」


そう言いながらアズマは俺の隣の席に座った。


はあ…何でこんな広い敷地内なのに、会ってしまうんだよ。


「てか拓夢って彼女いるんだな!この前一緒にいた子ってミスコンに選ばれた子だろ?すげーじゃん」


「まださおりとは付き合ってねーよ。つか、お前も彼女いるだろ、こないだ一緒にいた子」


「あれは彼女じゃねーよ」


アズマはムッとした表情で言った。



< 24 / 211 >

この作品をシェア

pagetop