陰にて光咲く



こいつにはマジで呆れるわ。


何で関わりたくないのに、こんなにも会ってしまうんだろうか…


その日大学が終わってからはバイトで、バイト先のカラオケに向かった。


仕事内容はお客さんの受付や注文の品を運んだり、帰ったお客さんが使った部屋の片付けだったりとやる事はそんなに難しくない。


今日は平日だからお客さんも少なくてやる事がなく、受付のカウンターでのんびりしていた。


すると勢いよく店のドアが開き、慌てて接客モードに戻した。


「いっいらっしゃいませ!」


入口からぞろぞろと人が入ってくる。


「拓夢〜来たぞ」


数名の客の中に健太がいた。


「なんだ健太かよ…」


ボソッと言ったつもりが、健太には聞こえてたみたいだ。


「何だとはなんだよ〜!それにしても相変わらず暇だな」


「はいはい、世間話は控えろ。何時間?」


「3時間!」


「機種の希望は?」


「いや、ない…」


さっきから健太は答えながらキョロキョロしている。



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