陰にて光咲く



結局、アズマと一緒にバイトすることになってしまった。


今日がアズマの初出勤である。


「星野くん、竹内くんにいろいろ教えてやってくれ」


バイト前に店長がそう言った。


「はい…」


気のない返事をしてから受付のカウンターへ行くと、すでにアズマがいた。


「おっす、拓夢」


アズマはいつも明るい。


俺とのテンションが雲泥の差だ。


「今日からよろしくな!拓夢と一緒だったら安心だわ〜」


「そんなことより、何でお前が俺のバイト先知ってたんだよ!一度も来た事なかっただろ?」


疑問を投げかけると、アズマは適当な感じで言った。


「それはまあ、風の噂ってやつ!」


「あのな…」


「冗談だって!俺もここ地元だからこの辺でバイト探しててこの店募集してたからさ、そしたら偶然拓夢がいたんだよ」


本当に偶然なのかよ…


携帯の番号といい、バイト先といい、どうもこいつに調べられてるようで気味が悪い。


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