陰にて光咲く
パアーン…
前方から電車が迫ってきて、男の顔が電車のライトによって照らされた。
嘘だろ⁉︎マジでこいつ死ぬ気かよ‼︎
「やめろっ死ぬんじゃねーよ‼︎」
それでも男は動こうとしない。
電車は止まることなく男に迫る。
「やめろっ‼︎」
俺の足は勝手に動き出し、遮断機をくぐっていた。
もう恐怖心どころではない。
そして男を抱え込み、線路から押し出すと地面に倒れこんだ。
目の前を猛スピードで電車が通過していくのを呆然と眺めていたところで、我に返った。
夢中で遮断機をくぐったことが自分でも信じられず、手と足が震えている。
とりあえず両方助かったんだ…
ほっとひと安心した時、隣から笑い声が聞こえた。