陰にて光咲く
でももう入ってしまったものは仕方ない。
一緒にやっていくしかないのである。
「じゃあとりあえず、受付のやり方からな」
アズマは俺が教えた事を順調に覚えていき、テキパキと仕事をこなしていった。
また別の日に一緒だった時には部屋番号を全て覚えていて、受付のやり方やレジも完璧に覚えていた。
これには俺も正直驚いている。
「あの新人、覚えるの早いな」
と、店長もアズマのことを高く評価していて、アズマの意外な一面を目の当たりにした。
「ふう…カラオケのバイトって混む時はずっと動き回るから疲れるな」
部屋にドリンクを運び終えたアズマが受付にいる俺に言った。
「でも店長が覚えるの早いって褒めてたぞ」
苦手な奴の事を褒めると、なんだか虫酸が走る。
アズマは嬉しそうな表情をした。
「マジで?自分ではそう思ってないんだけどな〜」
こんなこと言ってすぐ調子に乗るんだよな。
誰かはやく俺をこの男から解放してくれよ。