陰にて光咲く



でももう入ってしまったものは仕方ない。


一緒にやっていくしかないのである。


「じゃあとりあえず、受付のやり方からな」


アズマは俺が教えた事を順調に覚えていき、テキパキと仕事をこなしていった。


また別の日に一緒だった時には部屋番号を全て覚えていて、受付のやり方やレジも完璧に覚えていた。


これには俺も正直驚いている。


「あの新人、覚えるの早いな」


と、店長もアズマのことを高く評価していて、アズマの意外な一面を目の当たりにした。


「ふう…カラオケのバイトって混む時はずっと動き回るから疲れるな」


部屋にドリンクを運び終えたアズマが受付にいる俺に言った。


「でも店長が覚えるの早いって褒めてたぞ」


苦手な奴の事を褒めると、なんだか虫酸が走る。

アズマは嬉しそうな表情をした。


「マジで?自分ではそう思ってないんだけどな〜」


こんなこと言ってすぐ調子に乗るんだよな。


誰かはやく俺をこの男から解放してくれよ。


< 30 / 211 >

この作品をシェア

pagetop