陰にて光咲く
受付を済ませたアズマがさっきの集団を、202号室に案内した。
何故かアズマと関わりのあるあの集団が気になってしまい、こっそり後をつけて202号室から聞こえる話し声に耳をすませた。
「フン、お前が最近つき合い悪いせいは仕事増やしたためか」
さっきのロン毛男の声がすると、アズマの声が聞こえた。
「ああ。今どっちも繁盛してんだぜ」
仕事増やしたってことは、このバイト以外に掛け持ちしてるってことか?
「最近アズマ、全然こっちに顔出さないんだもーん。てっきりやめちゃったのかと思った」
誰だかわからない女の声がした。
「やめるわけねーだろ。俺がいなくて誰が売るんだよ」
「そーそー!アズマのお陰で俺たちは成り立ってんだからよ」
アズマが売ってる?成り立ってる⁇
何が…?
アズマは一体、他に何のバイトしてるんだ。
すると202号室からアズマが戻ってきそうだったので、慌てて厨房に戻った。
「拓夢、注文票ここに置いとくからドリンク頼むな。俺は食事用意すっから」
厨房に戻ってきたアズマは至って普通だった。