陰にて光咲く
第三章 「接触」
「特上カルビとホルモン、あとタン塩!んで生ビール二つで」
「かしこまりました」
店員に注文していくアズマを俺はじっと見つめていた。
今日バイトの給料が入り、帰りにアズマに焼肉食べに行こうと誘われた。
もともとアズマが苦手なはずなのに、ここまでくると断る気持ちも少しなくなった。
心のどこかで関わってはいけないと思っているのだが、アズマから接近してくるため、どうしようもない。
このまま悪いことがなければ、普通の友達でいられるのだが…
けれども、今はそれよりも別のことを心配していた。
「なあ、アズマ。こんなに頼んで大丈夫かよ?いくらバイト代が入ったとはいえ…」
ここの焼肉屋はどこにでもありそうな店とは違い、アズマに連れて来られた店は芸能人もやたらと通うような高級の焼肉屋だ。
肉の値段も普段とは格段に違う。
値段にあせって、目の前で楽しそうに肉を焼いているアズマに言うと、アズマは余裕の表情を見せた。