陰にて光咲く
それが何だか妙に気になっていた。
「まあ、いろいろとな」
アズマは肉を焼きながら曖昧に答えた。
「へえ…稼いでるんだな」
「ちょっと家の事情でさ、今稼がないとやべーんだ」
家の事情か。そういうことにしておこう。
もし違ったとしても、自分には関係のないことだ。
それでこの話は終わった。
それからは二人で食べたり飲んだりしながら、意外と楽しく過ごせた。
満腹になったところで会計の伝票を見ると、予想以上の金額になっていた。
「うわっ俺らすげー食ったな。割り勘でも結構すんじゃん」
すると、アズマは持っていた伝票を奪った。
「いいよ、俺払うから」
「何言ってんだよ、俺の分払うよ!お前一人にこんなに払わせる訳にはいかねーよ」
伝票を奪い返そうとすると、アズマは伝票をピラピラしながらニンマリした。
「いーから!ここは俺に任せて拓夢は店の外にいろ、なっ」
アズマのニンマリした笑顔が引っかかったが、強引に店の外に出されてしまった。