陰にて光咲く



ひらすら暗い住宅街を走っていても、今だに二人の店員が追いかけてきていて、その差は縮まってきている。


「アズマやべーって‼︎金払って謝ろうぜ‼︎」


「大丈夫だって!いーもん見つけたし」


アズマは手招きして前方にある一軒家に向かった。


そして、その家の前に停めてあったバイクにまたがりだした。


「おい、アズマ…」


「何してんだよ、はやく乗れ‼︎」


人のバイクを勝手に使っていいのかよと思ったが、店員が迫ってきているので仕方なく急いでアズマの後ろにまたがった。


「よしっ飛ばすぞ!!」


アズマはバイクのエンジン音を入れて、バイクを走り出させた。


後ろを見ると店員たちは遠のいていき、やがて見えなくなった。


諦めたようだ。


「なあっお前、このバイクの持ち主知ってんのかよ?」


バイクのエンジン音に負けない大声で聞いた。


「いや知らねえ!鍵が刺さったままだったから借りた」


「え!?」


「だってご自由に使って下さいって言ってるようなもんだろ!ちなみに俺、免許も持ってねーよ」


「はあ!?」


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