陰にて光咲く
「ははは…やってくれるね。正義の味方君」
さっき自殺しようとしていた男が目を細めて笑っていた。
それを唖然と見つめる。
「俺が自殺なんかする訳ねーじゃん。そんな短い生涯で人生終わらせたくねーし」
男は立ち上がって、倒れこんだ時に乱れた服を戻していた。
俺も立ち上がる。
「自殺する気ないなら、なんで踏切の真ん中にいたんだよ?」
気になった疑問を投げかけると、男は踏切の真ん中を見つめながら話した。
「電車が自分に迫ってきてギリギリひかれる前になったところで避ける時、めっちゃスリルあるじゃん。その感覚が好きだから」
言ってることがよくわからないが、男は続けた。
「何かが自分に迫ってきて逃げられた時に、俺にはまだ生きれる力があるって思えるんだよ。逃げずにただ立ってるだけじゃあっさり死んじゃうもんな」
やはり理解できない。
これを理解できる奴は果たしているのだろうか。
変な男と知り合ってしまった…