陰にて光咲く
しばらくして、スマホのバイブ音が部屋中に響いた。
軽く夢の中に入りかけていたが、その音で目を覚ました。
「誰だよ、こんな時間に」
テーブルの上にあるスマホに手を伸ばして画面を確認すると、それはアズマからの着信だった。
まさかあいつ、今日のことがバレて・・
嫌な想像をしてしまい、一気に目が覚めた。
急いで電話に出る。
『もしもし?』
『拓夢、今家だよな?』
アズマの声は小さく、くぐもっていてよく聞き取れない。
『そうだけどどうした?』
『悪い、助けてくれ!』
『え?』
『実は今、お前のアパート前まで来てんだ』
アパートの前?嘘だろ。
ベッドの横にあるカーテンが閉まった窓に目をやった。
『話はあとでするから、とにかく出てきてくれ』
電話の向こうのアズマは小さい声だけれども、必死な様だった。
『わかった・・』
電話を切ると上着をはおり、玄関のドアを開けた。