陰にて光咲く
アパートに戻ると、さおりがさっそくエプロンをして台所に立ち、料理を始めた。
母親以外の手料理を食べたことないから、少し緊張もする。
俺は料理ができるのを待ってる間、部屋の中を100均で買ってきたクリスマスの造飾をしていた。
すると、台所にいたさおりが駆け寄ってくる。
「そうそう拓夢、これも部屋に飾ってほしいんだ」
そう言ってさおりが差し出したのは、何やら葉っぱがたくさん植えてある植木鉢だった。
「どしたのこれ?」
「ここ来る前に花屋で見つけたの。アイビーっていうんだって。なんかクリスマスっぽくて可愛くない?」
へえ、こんなただの葉っぱに見えてもちゃんと名前あるんだな。
さおりからアイビーの植木鉢を受け取った。
壁を飾り付けて窓辺にアイビーを置くと、なかなかクリスマスの雰囲気がでてきた。
「できたよ〜」
さおりが料理をテーブルに運んできた。
メニューはチキン、ポテトサラダ、ビーフシチュー、ちらし寿司。
思った以上の出来栄えに驚愕した。
「すげー!さおり料理上手だな」
「も〜食べてから言ってよ」
さおりは恥ずかしそうに言った。