陰にて光咲く
「ずっと言おうと思ってたんだけど…」
静かな空間に時計の針の音だけが、鳴り響いている。
「俺、さおりのことが好きなんだ。付き合ってください!」
さおりに頭を下げて言い、ぎゅっと目を閉じた。
けど、しばらくしてもさおりからの返事がない。
不思議に思っていると、グスッと鼻を鳴らす音が聞こえて、顔を上げた。
「さおり⁉︎」
さおりの目から涙が溢れていた。
「嬉しい…私、そう言ってくれるのずっと待ってた」
「えっじゃあ…」
「こんな私でよかったら、よろしくお願いします」
ようやくこの瞬間が訪れた。
目の前で涙を流して喜んでいるさおりが愛おしく感じ、俺はさおりを抱きしめた。
「拓夢、私も拓夢のこと好きだよ…」
さおりは俺の背中に手を回して、そう言ってくれた。
一旦体を離すと、さおりにそっとキスをした。