陰にて光咲く



何回も唇を重ねていく内に、雰囲気が甘いムードになってくる。


さおりの体を押し倒そうと、体に手をかけた時だった。


玄関にぬっと人の影が見えたのである。


その影はよく見るとアズマだった。


「アズマ⁉︎」


「悪い、お楽しみ中だったよな」


アズマはニヤニヤしながら言い、俺とさおりは慌てて離れた。


「勝手に入ってくんなよ‼︎」


「鍵開いてたから。こーゆー時はちゃんと鍵かけなきゃダメだろ」


何ですぐこーなるんだよ…


いいところでいつもこうだよ。


「それで何の用だよ?」


少しキレ気味の口調で言うと、


「今晩泊まるところ探しててさ、イブだからどこのホテルも空いてねーんだよ。だから拓夢ん家に泊めてもらおうと思ってさ」


と言った。


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