陰にて光咲く



「お前みたいないい奴と付き合える女は幸せじゃん。俺も女だったら絶対拓夢狙ってたのに」


なんだよそれ、どーゆう意味だし。


その言葉、喜んでいーのかわからねえよ。


俺は黙ってコーヒーをすすっていた。


するとアズマはテーブルの上に置いていた、さおりからもらった腕時計を手にした。


「もしかしてこれ、さおりって子からのプレゼント?」


「ああ、そうだけど」


「ふーん・・なんか拓夢っぽくねーな。こんなオシャレな時計しないだろ?」


人からもらった物をさっそくけなすなとムッとし、アズマの手から時計を奪い返した。


「うるせーな、返せよ!」


「あそこにあるのもさおりって子からだろ?」


アズマはにやにやしながらそう言って、窓辺にあったアイビーの植木鉢を指さした。


「きのうはあんな植木鉢なかったし」


「はいはいそうですよ」


「ラブラブじゃん。クリスマス楽しんでたんだな」


それをお前のせいでぶち壊しにされたんだよと、心の中でつっこんだ。


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