陰にて光咲く



「次の講義だりーな、さぼりてー!」


健太が空に向かって手を伸ばしながら叫んだ。


「お前先週サボっただろ。今日は絶対出ろよ」


「ヘイヘイ」


まあ健太がサボりたくなるのもわかる。


大学の授業って出席日数にさえ気をつけてれば、出なくてもいい時あるしな。


「あーあ、何か就職先が見えてればやる気出んのになぁ〜」


力のない声で健太が言った。


「何言ってんだよ、健太はいーじゃん。いざとなれば実家の農業継げばいいんだし」


「絶対やりたくねーよ!それじゃ何のために上京してきたのかわからねーし」


健太は長野から上京し、この大学に通っている。

俺も家が販売店とかだったら楽だったのにな。


そんなことを思いながら、3人で歩いていた時だった。


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