陰にて光咲く



「てめぇだろ、竹内アズマ‼︎」


男のものすごい怒鳴り声が響いた。


今聞こえた名前は空耳か…


怒鳴り声がした方向へ目をやると、壁に一人の男を押し付けた5人の男がいた。


「やだ〜喧嘩かな?」


さおりの表情が強張っている。


そして男たちに囲まれている奴の顔が見えた時、驚愕した。


やっぱり…嘘だろ?


あの時のアズマ⁉︎


あそこにいるのはアズマだ…


何でここにいるんだよ⁉︎


「何で…」


思わず口に出してしまい、さおりが俺の様子に気づいた。


「拓夢、知ってる人なの?」


「まっまあ…」


目の前の信じられない光景を見つめながら、曖昧に答えた。


するとさおりがヒソヒソと小さい声で話した。


「あんまりあのアズマって人と関わらない方がいいよ。あの人けっこう悪い噂あるみたいだから」


「え?」


その時、再び男の怒鳴り声が響いた。


「お前が俺の真美と浮気したんだろ‼︎昨日さんざん連れ回してたじゃねーかよ」


「俺の彼女もお前と一緒に歩いてたところを見たって奴がいたんだよ‼︎人の彼女に手ェ出すんじゃねーよ」


男らはアズマを睨みながら怒鳴っている。


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