陰にて光咲く
第六章 「正体」
それから一ヶ月が過ぎたが、あれ以来アズマからの連絡が来なくなった。
こないのならそれに越したことはないのだが、何かあるんじゃないかと不安になってくる。
こんなんじゃ、精神的にもくる。
「竹内くん、今日も来ないのか…」
アズマはバイトも無断欠勤するようになり、バイト先の店長がため息まじりに言っているのを何度か聞いた。
さおりの身にも何も起こっていなかった。
このまま無事に時間が過ぎて行けばいいのだが、そういかないのが現実だ。
1年生最後のテストも無事終わったその日、
「あそこにいるのってアズマじゃね?」
健太とさおりとキャンパス内から出てきた時、健太が言った。
健太が指さした方向には、周りをきょろきょろしながら建物の裏へ入っていくアズマがいた。
その傍らに、見たことない2人の男。