僕の愛した愛。
マクドナルドで並んでるとき、学生たちがたくさんいる中で、
ねえ、しゅうちゃん?
すきっていって?

は?なにゆってるんだよ。やめろよ。
と小声で話す僕。
それに対してあいは
しゅうちゃん!大好き!すきすきすきすき!
と僕にうでをからませてくっついて見上げながら言ってくる。
ねえ、しゅうちゃんもいって
なにゆってるんだよー。まったく愛は。
と僕は笑ってごまかす。

もともと愛とは違って自分の気持ちを言葉にするのが苦手な僕は愛に容易く好きだよ。などの甘い言葉を言わなかった。理由はよくわからないが、言えば言うほど僕の気持ちが軽いものになってしまうような気がしたし
単に恥ずかしくて口にできなかったのもある。
正確には甘い言葉を言えなかったのだ。


それに対して愛は
いつもしゅうちゃんは好きって言ってくれない。と頬を膨らませて怒ることもあった。

こんな僕の態度がきっと愛を寂しくさせていたのだろう。

愛はいつも僕に愛情表現をしてくれた。
愛が僕にくれた甘い言葉は漫画のような臭いセリフで今でも思い出すと恥ずかしくなるくらいだった。

愛とは基本的に僕の高校の最寄駅で待ち合わせをした。
一緒にマクドナルドへ行ったりミスタードーナツに行ったりゲームセンターに行ってプリクラを撮ったりカラオケに行ったり。
映画を見たり。
そこから2人で僕のうちにくる。
そこで愛し合った。
愛の門限は10時だった。
ぼくはかならず門限は守らせた。

当時の愛は親と上手くいってなく家に帰りたくない。とよく駄々をこねたのだ。

しゅうちゃん。このまま日本が沈没すればいいね。そうすればずっと一緒にいられるね。

そうだね。

ぼくがそう言うと

もうしゅうちゃんはいつもそうだね。ばっかり

愛そろそろ帰らないと。送って行くから

やだ〜帰りたくない
ずっとしゅうちゃんと一緒に居る
もうくっついて離れられなくなっちゃった〜

愛ーだめだよ。ちゃんと帰らなくちゃ
ほら行くよ

僕は愛を持ち上げてカバンを持ち家の階段を降りる。

わーい!だっこだだっこ
このまま抱っこで駅まで連れてって〜

はいはい
靴履いて

こうして抱っこしてあげると愛は機嫌よく帰るのだ。

駅まで送る。

バイバイ
気を付けて

うん。またね。
といいながら
しくしく
と鳴き真似をする愛。

かわいい。抱きしめたい。僕だって帰したくない。ずっと一緒にいたい。
いつも僕は駅のホームに消えていく愛を見ながらそう思っていた。
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