僕の愛した愛。
僕たちは2004年の3月
別れたのだった。
別れを言い出したのは愛だった。
愛は夢を叶えるために美容の専門学校に行く事が決まっていた。僕と離れたくないから地元の美容の専門学校にすると言ってくれて地元に留まることにしたのだった。

僕は密かに愛が高校を卒業したら一緒に住みたいと思い貯金をしていた。
もちろんこの事を愛に伝えた事はなかった。
言い出す勇気がなかったのだ。

なのに突然。
愛は電話で言った。
愛が高校の卒業式を終えて2週間程たったころだった。
しゅうちゃんの気持ちがわからないよ。
なんでいつも私ばっかり。
しゅうちゃんがわたしのこと好きなのがわからない。別れたい。
しゅうちゃんと一緒にいても辛い。
と言って泣いたのだった。

僕は止める事ができなかった。
僕といる事が辛いのなら別れた方が良いと思った。

僕は昔から自分の欲しいものを無理やりにでも手に入れたいとは思わなかった。
どうしてもあれがほしい。と言うものはなかった。
僕がほしいものがあっても他の誰かがそれを必要としていれば
僕はいらなくなる。
自分の感情より相手の感情や周りの雰囲気を優先してしまうのだった。
愛が別れを望むのならそれで良い。
そう思った。

今思えば、愛は愛情表現をしない僕を試したのかもしれない。すがってほしかったのかもしれない。

僕は
わかった。男らしくないから受け止める。今までありがとう。
愛?元気でな。専門学校がんばれよ。
ありがとう。バイバイ。
と言って電話を切った。
愛は泣いたままだった。
バイバイも言わなかった。

愛と僕は終わった。
あまりにもあっけない終わりだった。
僕たちの3年間は終わった。
今日から愛とは他人になるんだ。
僕たちではなく、君と僕になるんだ
そう思うとたまらなくなった。

僕は今まで撮った愛とのプリクラを一枚ずつ貼っておいた灰皿の缶をみた。
これどうしよう。大きい灰皿の缶は愛との思い出の3年で3個目になっていた。

この灰皿どうすればいいんだよ。。。
愛がくれたアルバム。
愛とのペアリング。

どうすればいいんだよ。
僕は泣いた。

この気持ちをどうしていいのかわからず泣いた。

愛と別れても次の日の朝はやってくる。毎日朝が来て仕事に行く時間がやってくる。
愛がいない日常がやってくる。

あんなに燃え上がった初恋がたった3分の電話で終わった。

僕は愛を寂しくさせていたんだ。
こんなに思っていたのに。
こんなに好きだったのに。
それを伝える事ができなかった僕が悪い。
愛ごめん。

こんな風に思っても、愛に伝えなければ愛はわからない。だって彼女はまだ17歳。
僕はまだ18歳だったのだから。

今思えばもっと気持ちを伝えればよかった。と後悔する。
言わなくてもこんなに思ってるんだからわかるだろ?
そんな自惚れた気持ちはやめるべきだった。
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