私、支持率No.1らしいです
…長峰宅から離れた海上に空間の歪みの様なものができる。そこから人型ではあるが明らかに人外で異形な姿と巨大な存在が、ゆっくりと出てくる…
「澄んだ空気だ…悪くない…さて、人間には消えてもらおうか」
謎の存在は瞬間的にスッと消え、海に面した広い道路へ移動し着地する。凄まじい衝撃でアスファルトがえぐれ、下地の砂利が舞い散る。
「皆殺しだぁ!」
恐怖の始まりを告げる雄叫び…だが…飛行物体の接近に気付く
「いきなり移動すんなっ!海まで行っちまっただろうが!このバカヤロー!」
着地するなり、頭ごなしに怒鳴りつけるコロッケと、その後ろで冷や汗をダラダラ流す有紗…
有紗はおもむろにコロッケのシッポを掴む
「私のセリフよ!なんて速度で飛んでんの!?死ぬかと思ったじゃない!このアホ!このっ!このっ!」
有紗は左右の地面へ何度もコロッケを打ち付ける…その光景を見ながら謎の存在は問い掛ける。
「…お前たち…何者だ?」

ビシッ!と指をさし、言い放つ!
「テメェをぶっ殺す者だ!」
有紗にぶっ殺されかけながら言っても全然、説得力がない…締まらない…血まみれのコロッケを引き上げ、有紗はひそひそと小声で尋ねる。
「…もしかしてだけど…あのデッカイやつと戦え…なんて言わない…わよね?」
しっかりと聞こえていたはずだが
「さぁ!ド派手に殺っちまえ、アリサ!」

“マジかよっ!?”

と有紗は心の内で叫んだ…
謎の巨大な存在がギョロっと有紗を見下ろす。
「人間…少女…フフフッ…フハハハハ!面白い冗談だ!だが、よかろう…抗うだけ抗い、絶望を知れば本望だろう…どうせ皆殺しだ!」

“…あ、私ここで死んだ…”

「あ~とりあえず、コレだ!アリサ!」
コロッケが変な石ころを投げる。もう死んだ様な目で有紗は受けとる。
「ふぇ?何この石?」
石は輝きを放ち、その光は有紗を包み込む…いかにも魔法少女という姿へ変身する。
「え?は?ハァー!?何?何なの?この格好…すごい恥ずかしいんですけど!」
動揺する有紗…それに対しコロッケはあらゆる角度からカメラのシャッターを切る。
「いいねぇ~いいねぇ~!…いいね!コレは高く売れそうだ♪やっぱ魔法少女は変身しないとな!」
アホは撮影を続けるが絶体絶命は変わらない…
「あとコレ使え!杖が定番っしょ!」
カメラ片手にまた投げる…窮地に立たされ覚悟を決めた有紗は投げられた杖をパシッ!っと取る。
「死にたくないからやるしかない!やってやるわよ!でも…杖?ねぇコレって杖なの?」
手にした物はどう見ても…鉄パイプ…
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