私、支持率No.1らしいです
「鉄パイプ…?」
これで戦うっての?あんな化物と…
「ノン、ノン!鉄パイプじゃあ無いぜ!中身が詰まってるから鉄棒だぜ!オーライ?アリサ」

“そういう問題なのかな?”

「何にも無いよりはマシっ!これでぶん殴ればいいの?」
両手に力を込めて構える。いざ、勝算皆無な戦いへ!
「アリサ…お前バカか?使い方としては有りかも知れねーけど、魔法少女だぞ?そんなゴリゴリっなスタイルするかよ?アイツに向けてみ?」

“…なるほど…わかった!…魔法的な何かが出るのね!…見てくれより質なのよ!きっと!”

両手から片手に持ち変え、構え直すと化物が皮肉に笑いながら喋り出す。
「そんな棒きれで何が出来る?まぁ、気が済むまで抗え…しかし教えてやるが、この肉体にはあらゆる攻撃は無駄だ!我が名は“鋼鉄の…」

サクッ!

名乗りを挙げようとした化物の頭を針みたいに尖った長物が貫く…敵対する者同士が同じ言葉を口走る。

「……え?何これ?…」

化物の頭に刺さった長物を視線で辿ると、有紗の片手に握られた鉄棒に着く…勝手に伸びてる…
一度だけ視線を合わせ両者は沈黙する…

「イエーイ!フゥー!やるじゃねーか!アリサ!」
アホだけテンションMAXで騒ぐ
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
焦りながら片腕を振り回す有紗だが、その腕の動きと連動し、化物の頭部をグリグリとこね繰りまわす事になる。

「うわっ!ええー!ごめんなさいー!」

「ワァーオ!すげーマジすげーよ!」

混乱する有紗と騒ぐアホ…白目を向き顎が垂れ下がっている…恐らく化物は絶命している…
「もうやだよー!」
泣き出しそうな有紗の気持ちとは裏腹に鉄棒の先端は色々な形状へ変化する。回転したり、化物の頭からトゲが飛び出したり、死角になっているが後頭部がふっ飛びビタビタと何か地面へ飛び散る音が聞こえる…
「嫌っー!戻って!元に戻ってぇ!」
両手で強く押さえつける様に握り、願う有紗…まだ刺さったままの鉄棒は縮み出す。しかし引寄せられるのは有紗の身体の方…
「きゃー!何で?何でよー!?」
やっと元の長さに戻る瞬間に先端は膨張し、ダメ押しとばかりに化物の頭は見事に破裂する。残った巨大な胴体から鮮血が吹き出し倒れ痙攣している…有紗の身体は返り血を浴びる…
精神が崩壊しそう
「……ねぇ?コロちゃん…この化物…まだ私に攻撃なんかしてないよ?悪い事もしてない…これって…事前処理っていうのかな…?」
少女は大人の階段を登った様な気がする…
「…お…おう!…ソレだソレ!…にしても結構エグいな…まぁ勝って良かったじゃねーか…イエーイ…」
流石にアホも、少女の反応と一方的な惨劇に少し引いている…
「こっちの方がよかったか?」
また変な石ころを有紗へ渡す。
「…何これ?」
今度はちゃんと丁寧に説明してやる。
「たぶん、アリサが最初に想像してたと思う魔法が出来るぜ!…試しに掲げてみろよ!な?」
こんな感じ?と有紗は言われた通りにする…次の瞬間、もう痙攣が止まった化物の亡骸を囲う様に数個の光が発生する。線で繋がり内側に在る化物の亡骸を細い光でブロック体にコマ切れにする。更に小さくミンチなる程に切り刻み、囲われた空間だけ最初から何もなかったくらいに消滅…化物が生きていたらゾッとする惨劇になっていただろう…
「……吐きそ…」
呟きながら有紗は意識を失う…
「これは…俺が来て正解だったな…マジでヤバいぜ…お前はよ…アリサ…」
アホはアホじゃない様な表情で意味深な言葉を発した。
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