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図書室
何日も続いた雨がやっと終わりを告げた9月半ば。
カーテンの隙間から覗く青白い光が朝だということを気付かせてくれた。
「またか」
そう呟いた言葉はしんとした部屋の空気に飲まれた。
ふと目に入った“みずはられいな”という文字が書かれた画用紙。
そこには黒だけで描かれた絵があった。
それを見て思いっきり破りたい衝動に駆られた。
ただ、これを破ってしまうと全てが壊れてしまいそうな気がした。
『全て消えて無くなってしまえ』
何度そう思いあの絵に手をかけた事だろう。
でも、壊せなかった。消せなかった。
そんなこともできない自分が弱いということは重々承知だ。