夜の甘やかな野望


「だって、ロンドンから帰ってきたばかりだよね?」

「まあ」

「ってか、親父、引退するの早くない?」

「表向きだろ」

「いいの?それで」

「わかっていたことだし」


宗雅は平然と答えた。


「碧ちゃんは?」

「人の嫁を“ちゃん”づけするな」

「理事長夫人になるの、OKなの?」

「さあ?
 ってか、あの人に仕事を辞めさせるつもりはないし。
 今まで通りなんじゃない?
 辞めろなんて言ったら、離婚される」


宗雅はくつくつと笑っている。
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