夜の甘やかな野望


とはいえ、兄が理事長を継ぐとなると、自分が内藤家の持っている病院の院長を継ぐのは、もはや時間の問題か。


望んでない椅子。


そして望んでない結婚。


あの妖精さんと。


宗忠は大きなためいきをついた。


宗雅が笑っている。


「おまえ、相変わらずな」

「なにが?」

「嫌なことを嫌って言わない性格」

「大人なんで」

「それを大人って言わねーよ」


ああ、むかつく、な。


宗忠はソーダ割りをがぶがぶと飲む。
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