夜の甘やかな野望
「少し、自分の気持ちを直視したら?」
「十分している・・・と思う」
倫子との数々の夜を思い出す。
「おまえが直視してるのは欲望だろ」
「兄貴に言われたくない」
全くもって。
きっぱりと言い返すと、ふんっと鼻先で笑われた。
なんだよ、なんだよ。
宗忠はグラスを飲み干した。
自分の気持ちぐらい、しっかりと見据えているさ。
色々とあきめらているだけで。
「少し、あがけば?」
宗雅がぽんっと言葉を放った。