夜の甘やかな野望
昼休みの時間に、職場を抜けて花束を買う。
総務部から受け取ったのし袋をバッグに入れ、定時に上がると、いつもとは違う路線に乗った。
面会時間終了間際になりそうで、スマホを片手に駅から早足で病院に向かった。
院内表示板を見て、エレベータで最上階に上がり、病室の前に立った。
うわー、個室。
さすが。
倫子がノックすると返事は無い。
開けていいものか迷っていると、ドアの向こうに人の気配がした。
静かにドアが開いて、現れたのは“妖精さん”だった。
予想していない自分を責めながら、頭を下げた。