夜の甘やかな野望
「あと、お花を」
倫子が紙袋ごと差し出すと、ちょっと困った顔をした。
「ごめんなさい。
お花はたくさん頂いて、花瓶がもう無くて・・・」
「あ、ええとじゃあ、あなた様に」
とっさに恥ずかしい日本語になった。
彼女が軽やかに笑ってくれる。
「宗忠さんにはお伝えしておきますね。
だからどうぞお持ち帰りになって?」
ええと、いいのかな。
「その方がお花も喜ぶと思うの」
そこまで言われて、無理やり渡すのは迷惑だろう。