夜の甘やかな野望
「やっぱり、あのマンションは嫌です。
今度、うちの合鍵を渡します」
あ、いま、固まったかも。
「これから倫子さんの家に送り届けるから、その時にちょうだい」
ぱたぱたとしている耳としっぽが見えているかもしれないが、宗忠は構いやしなかった。
「え?今日ですか?
どこにしまったかなあ」
倫子の眉間にしわがよる。
「今度の時までに探しておきますから」
「はい」
ここは譲歩するしかない。
しつこい男はうっとおしいだけだ。