夜の甘やかな野望
「わかってるって。
もうちょっと待ってよ。
ほら、ああいうことがあったから、二度と起きないようにしないと、と思って」
神妙な顔をしてみせると、母、静香は妙に納得した顔になった。
「それは最もだが、莉奈さんと付き合って長いんだ。
それなりの覚悟をしないとな」
不気味な光を帯びている父親の瞳をしばらく見つめた。
なるほど。
断るのなら、それなりの覚悟をしろと。
「そうだね」
宗忠はにっこりと笑った。
ややして宗忠が帰り、静香がお茶の後片付けをしていると、夫が含み笑いをしているのに気が付いた。