夜の甘やかな野望


「どうしたの、あなた?」

「うん。
 可愛い子には旅をさせろとは、よく言ったものだと思ってね」


静香は小首をかしげて、しばらく考え込む。


「そうね。
 たーちゃんの言うとおりよね。
 莉奈さんとの結婚に時間がかかるのは、辛抱ね」


明るく言うのに、宗重は静香の髪の毛を指に絡ませて、ただ意味深に笑っていた。
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