夜の甘やかな野望


    *


〝ちょっと遠出をしない?″と誘われて、関東の山奥へドライブした。


オーベルジュで食事だけをし、石切り場の跡地へと着いた時は真っ暗だった。


こんな山奥にと思ったが、簡易の照明のもと、多くの車が停まっている。


「何かイベントですか?」


倫子は不思議そうに周囲を見回した。


「うん。
 コンサート」


バッハのコンサートが開かれるらしい。


「いい具合に反響するところで聞きたくなって」


宗忠はそう言った。
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