夜の甘やかな野望
それを察したのか、宗忠の眉が下がる。
「倫子さん、少し話さない?」
“私らしくない”
夜毎に呟いている言葉を、胸の内で呟いて、倫子は解除ボタンを押した。
玄関のドアを開けると、相変わらず茶色い髪の毛はサラサラとしていて、二重の目元は柔らかく、通った鼻筋と優雅
なカーブのくちびるをしていた。
今日はちょっと儚げな雰囲気だ。
守ってあげたくなる王子様。
「どうぞ」
倫子は部屋へと道をあけた。
宗忠はおじゃましますと小さく呟いて上がると、ローテーブルの前に座った。
疲れているのかな。
その横顔を見て思う。